作品紹介

オラトリオ「鳥の歌・ひろしま」

オラトリオ「鳥の歌・ひろしま」

作品情報

作品

  • オラトリオ「鳥の歌・ひろしま」
  • Oratorio "Song of the Bird"
  • 作曲:尾上和彦/詩:峠三吉、原民喜、土屋清、栗原貞子、ナジム・ヒクメット

構成/曲目

  • 序.
    人間をかえせ
  • 1.
    黒い雨
  • 2.
    廃墟の中で
  • 3.
    生き残った私
  • 4.
    死んだ少女
  • 5.
    哀れな地球
  • 6.
    警鐘
  • 7.

初演

  • 1983年8月
  • (広島)見真講堂/広島オペラアンサンブル

備考

  • アニュアルコンサート「八月の祈り」にて、毎年上演。

アニュアルコンサート「八月の祈り」

「八月の祈り」とは

1985年の第1回開催以降、毎年8月に開催されているコンサート。八月の祈り実行委員会主催(実行委員長:日下部吉彦氏<音楽評論家>)。当コンサートでは、およそ30年にわたり、オラトリオ「鳥の歌・ひろしま」が演奏されており、現在は、指揮の西岡茂樹氏ならびに豊中混声合唱団をはじめ、多くの方々のご尽力により、毎年の継続的な開催が実現しています。

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初演・改訂歴

  • 1983年
    8月
    オラトリオ鳥の歌/合唱:広島オペラアンサンブル、指揮:斎城英樹 (初演)
  • 1984年
    5月
    オラトリオ鳥の歌(オーケストラ版)/管弦楽:新広島フィルハーモニー 、指揮:斎城英樹 (初演)
  • 1985年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(改訂版)/管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団、指揮:湯浅卓雄 (初演)
  • 1993年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(オルガンバージョン)/オルガン:保田紀子、指揮:尾上和彦 (初演)
  • 2004年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(母と子のバージョン)/オルガン:堀江光一、指揮:西岡茂樹 (初演)

主要上演歴

  • 1983年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (広島)見真講堂/広島オペラアンサンブル
  • 1984年
    5月
    オラトリオ鳥の歌(オーケストラ版)(広島)広島市公会堂/新広島フィルハーモニー管弦楽団結成記念演奏会 【初演】
  • 1985年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール/サントリー文化財団推薦コンサート
  •  
    10月
    オラトリオ鳥の歌 (京都)京都会館第2ホール/京都音楽サークル協議会
  • 1986年
    6月
    オラトリオ鳥の歌 (京都)京都教育大学附属桃山小学校講堂/京都市交響楽団
  • 1986年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1987年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1988年
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1989年
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1990年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール/日本芸術文化振興会助成
  • 1991年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1992年
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール
  • 1993年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール(パイプオルガンのニューバージョンによる初演)
  • 1994年
    8月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)ザ・シンフォニーホール/8月の祈り10周年記念公演
  • 1995年
    8月
    オラトリオ烏の歌(広島)フェニックスホール/被爆50周年祈念特別演奏会/エネルギア文化・スポーツ財団助成
  •  
    8月
    オラトリオ烏の歌(奈良)東大寺大仏殿前/終戦50周年万国戦没者慰霊法要
  •  
    9月
    オラトリオ烏の歌(和歌山)和歌山市民会館/和歌山平和コンサート
  • 1998年
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)いずみホール/オルガンバージョン
  • 1999年
    7月
    オラトリオ鳥の歌 (大阪)いずみホール/オルガンバージョン
  • 2004年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(母と子のバージョン)(大阪)いずみホール【初演】
  • 2005年
    7月
    オラトリオ烏の歌(広島)呉市民会館
  •  
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)いずみホール
  •  
    9月
    オラトリオ烏の歌(広島)東区民文化センター大ホール/広島オペラアンサンブル
  • 2006年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(大阪)ドーンセンターホール
  • 2007年
    8月
    オラトリオ鳥の歌~母と子のバージョン(大阪)川口基督教会
  • 2008年
    8月
    オラトリオ烏の歌(大阪)御堂別院本堂
  • 2009年
    8月
    オラトリオ鳥の歌~オルガンバージョン(大阪)東梅田教会
  • 2010年
    8月
    オラトリオ烏の歌 (大阪)相愛学園本町学舎講堂
  • 2011年
    8月
    オラトリオ烏の歌(大阪)相愛学園本町学舎講堂/東日本大震災支援チャリティコンサート
  • 2012年
    8月
    オラトリオ烏の歌(大阪)アクア文化ホール
  • 2013年
    8月
    オラトリオ烏の歌(大阪)アクア文化ホール
  • 2014年
    8月
    オペラ鳥の歌(大阪)アクア文化ホール
  • 2015年
    8月
    オラトリオ鳥の歌(広島)エリザベト音楽大学講堂/原民喜の世界(被爆70周年祈念)(予定)
  •  
    8月
    オラトリオ鳥の歌(大阪)豊中市立アクア文化ホール (予定)

公演写真

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作品解説

尾上和彦の世界が深まっていく (松本勝男氏<音楽評論家>)

-CDオラトリオ「鳥の歌」(1994年)に寄せられたメッセージ-


日本では珍しく、尾上和彦は”ヒロシマ”の表現に、こだわり続けてきた。”ヒロシマ”をいかに表現するかをめぐって、作曲家・尾上和彦は作曲の技法を磨き、一人の表現者として精神的にも、おおいにたくましくなった。

このCDに収められたオラトリオ「鳥の歌」は、その発芽のころの情況にまでさかのぼれば、尾上和彦の小オラトリオ「私は広島を証言する」の1960年の初演に到達する。その後、1963年の劇音楽「河」1973年の歌曲集「慟哭」などを融合しながら、1984年にはオラトリオ「鳥の歌・ひろしま」として、最終的な形を整える。しかし、作曲者は1984年版にも、満足しなかった。自らの交響曲の総譜の改訂に精を出したブルックナーの先例に似て、尾上和彦の場合には、ありていに言わせていただくなら非なるもの、があるのだ。ブルックナーの場合には、かすかに感じとれる作曲家のエゴのようなもの、あるいは業のようなものを、尾上の場合には、みじんも、聴き取ることは出来ないのだ。

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原子爆発について、ヒロシマについて、作曲家が音楽で表現することは、いま、非常に難しい。こんなふうに、84年版の関西初演のおりに、私は書いた。他人の不幸や犠牲をネタにした表現活動は、音楽だけでなく、芸術のすべての分野で、正当化を失ってしまっている。こうした思いは、美学者であり、哲学者であり、音楽関係の論文や著者も多数の、アドルノの警告を踏まえたものであるが、「鳥の歌」の作曲者は、〈非行〉への怒りを表現に移すことの必要性を、一度も疑ったことはなかったはずである。

この10年の間に、毎年の夏には、一度も欠けることなく「鳥の歌」が演奏されたという事実が、それを証明している。その間に、どんなに多数の人々がこのオラトリオを聴いて、ヒロシマへの思いを新たにしたことだろう。そして何よりも、作曲者が抱く原爆投下という〈非行〉への激烈な怒りに共感し感動した。しかし同時に、戦争を引き起こす人間の原罪の重さに、思いをはせたのだった。

人間の罪業を描く日本文学の古典を素材にしたオペラ「藤戸の浦」を作曲することで、「鳥の歌」の世界は広がった。こちらの岸からあちらの岸へ憧憬をはらむこととなった。作曲者はこのオペラで、人間の罪業(カルマ)を扱い、戦に勝たねばならない定めの武将と、運命によって、その犠牲として選ばれてしまった者とを、両者ともに、共感を込めて画き出している。

1994年の夏に大阪のザ・シンフォニーホールで収録した、この「鳥の歌」のCDには、作曲者の独自の語法が、強固に確立されたことを、鮮明に裏付けている。20世紀の後半に、世界の各地でもてはやされた様々の実験的語法とは、全く無関係に。

合唱参加者の声

世界平和を心から願って、9回を歌い続けてきました。いつも、あの時の暑い夏を感じながら、最後の2回を成長した娘と2人参加できたことは感無型です。

(児童合唱参加者の声/コンサート「8月の祈り」10周年記念パンフレットより)

私が烏の歌に参加してから7年がたちます。その頃、戦争について余り知らなかった私にとって、初めて聞いた烏の歌は強い衝動を与えました。戦争の恐ろしさも知り、そして、平和への願いを表現するのは言葉だけではないのです。

(合唱参加者の声/コンサート「8月の祈り」10周年記念パンフレットより)

初めて「鳥の歌・ひろしま」を歌ったのは、10年前で小学校4年生の時でした。最初はいつも歌っている歌と感じが違うのでむずかしいと思いました。だけど、だんだん曲の内容がわかってきて、最近では気持ちを込めて歌えるようになってきたと思います。

(児童合唱参加者の声/コンサート「8月の祈り」10周年記念パンフレットより)